生きて もう一度 あなたに逢いたい




12時までのCinderella




彼が言った言葉は現実のものとなった。


「大人になったら君はピアノの前に座り、観客の拍手とスポットライトを浴びて…」


叶わないと思ってた。

あなたが救ってくれた生命。


あれから6年。


「勇者の御守り…」

胸元で揺れているそれを握り締める。


やっと会える。

嬉しさの反面、不安がよぎる。


もし、忘れられていたら?


握る手が小刻みに震えだす。


「エヴァ、時間だ」

「はい…」


記者たちに囲まれながら歩き出す。


「これ…」


突然、目の前に花を差し出す人。

どれだけ長い間会ってなくても一目でわかる。

「ありがとう。すてきな花ね」

涙ぐみながら答える。


嬉しさと懐かしさから悪戯心が甦る。


「そのネックレス…」

「勇者の御守りなの。祖父の形見です」


傷ついたように目が曇る。

もう、「あの時の君はいない」って顔をして。

少しやりすぎた気もするけれど、「私も寂しかったんだからおあいこよね」と言い聞かせながら。



追いかけてばかりいたあの頃。今は追いかけさせたい。

「世界で一番好きな人」は来てくれるかしら。

階段にハイヒールを片方だけ残していく。

私はシンデレラ。あなたは王子様。

ピアノの音色に乗せて思いを届ける。


静かに近づいてくる足音に胸が高鳴る。約束を叶えて?私だけの王子様。


「大人になったらここに…kissしてくれるって」


指で口唇に触れながら問いかける。


「……記憶が…?」


驚いた様子で見返してくる瞳に笑顔で答える。

「おてんばは大人になっても治ってないようだな、シンデレラ!」

「12時になったら魔法が解けちゃうわ」

鐘の音と同時に口唇が重なる。


思わず笑顔がこぼれる。


「どうした?」

「結婚式みたい」

「…そうだな」



二人で歩き続けたいの。永遠に。





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やっとできました!
ステファン&エヴァのお話はもう1個考えてます。そのうち載せます。
無理矢理完結させちゃった(笑)



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